「あの……危ないところをありがとうございました。あ、私は晴菜と言います」 「俺はネレウス。この森は危ない。ロイトスに乗せていってやるから、時が来るまではアリスの家でおとなしくしていることだな」 「アリスさんとお知り合いなんですか?」 「知り合いも何も・・・・まぁ、とにかくアリスの家にでもこもってな!!」 「そんな、ちょっと探検に来ただけじゃない、」 ほんとにボソッと言ったつもりだったのにネレウスさんには聞こえていたみたい。 この音量で悪口を言って聞かれたためしが一度もない私にはちょっとショックだった。 こっちの世界の(?)人は耳がいいのかな? 「その好奇心が、自分の命を削るんだ、覚えておけ」 「はぁい、わかったわよ」 「分かればいい、ロイトス!!」 ネレウスさんが大声で呼ぶと、それ______ネレウスが森の中から現れた。 その姿は昨日森で気を失う前に森で見た動物そのものだった。 ______骨格などはチーターのようだが、頭に角が2本ついている。 身体の表面は長い毛に覆われていて、足は短い。 友好的な関係など、とてもじゃないが得られそうにない姿。 でも何故かロイトスには今回は友好的な関係を得られそうなそんな感じが漂っていた。 「あっ、これ・・・昨日見た動物・・・」 「そらそうだろうよ、昨日あの森の中で彷徨っていたお馬鹿さんをわざわざ森の入り口まで運んできてくれたんだからよ、感謝してやれよ」 「バカって何よ、私だって行きたくてあんな所に行ったんじゃないわよ!!」 「何だって?自分から言って迷ったとかそんなオチじゃないのか?」 「そんなわけないでしょ!!だれが好き好んであんな気味悪い森に!!」 「じゃあ、何であんな所に・・・」 そう言ったネレウスさんの声や表情はどこか動揺しているようにも見えた。 でもあいにくそこまで読み取れるほどの余裕はこの二日の出来事で私には微塵もなかった。 「知らないわよ、私が知りたいくらいよ!!気づいたらあんな所に居たんだから!!」 「わかった、行け。しばらくアリスのところで休んでいろ、、、」 「分かってるわよ!!言われなくても!!」 「ロイトス、送ってやれ」 それを聞いたロイトスは私の前を先導するように歩き始めた。 「ロイトスに付いていけば森を安全に出られるはずだ」 「わかった、ありがと」 「礼などいい、早く行け、見失うぞ」 それを聞いて振り返るとロイトスは私がネレウスさんと喋ってる間も歩き続けていた。