「どこよ……ここ?」 森だった。森の中にいる。さっきの男の姿は見えない。 「どういう仕掛けでこういうことになるのよ……」 回りを見渡しても生い茂る木々が頭上にまで多い被さるほど成長し、日光をほとんど遮っていた。 「ここって天国?それとも地獄? ほんとに死んじゃったのかな?」 それを確かめるため私はホッペタをつねってみた・・・・・。 ぎゅゅゅゅゅ 「痛っっっ、感覚は、、、ある。」 死んでしまったら感覚があるのかなんて私には分からないし、それにここが本当に天国か地獄かさえ判断がつかない。 そもそも人間は死んでしまったら天国などにいけるのかな? 天国なんて所詮生きている人間がつくった幻想、でしょ?だって人間は死んだ人とは話せないのだから。 もしかしたら人間って死んだら一生(死んでるのに一生って可笑しいよね。)こんな森を歩き続けるのかな? 「そんな寂しいのは絶対にヤダ!!」 彼氏にふられてちょっと腹が立って死にたいなんて思っちゃったけど、それは一時の気の迷い。 もうこのまま誰にも会えないでこんなとこにいるのなんて絶対にヤダ!! そう── こんな所からは早く抜け出そう。 そうとなれば膳は急げよっっっ!! まずはもう一度周囲を確認・・・・・・・・・。 「あれ・・・・まだ夕方だ、」 光を木々に遮られたこの空間からでも何とか夕方というくらいは判別は付いた。 「あれ、結構暗かったのにどうなってるのよっっっ!!」 そう、あの男について体育館みたいな建物に入った時はもうとっくに日はおちて暗かったハズよね? なのに何で・・・・・・・・。 それより── あの男だ!!魔方陣の前で何かを唱えていた危険人物!! 急いで周りを見渡す。 「居ない、、、、、、」 周りを見渡してもあの男どころか人間の気配すら一人も感じられなかった。 「ちょっとオッサン出てきなさいよぉぉぉぉぉ!!私を戻して!!」 叫んでも帰ってくるのは静寂だけだった・・・・。 そして────────── 「はぁ、はぁ、も〜森ぬけらんないじゃないっっっ!!」 あれから森を歩き続けて多分五時間はたったと思う。 木の棒を倒して方向を決めて歩き、気づけばいつの間にか日は暮れていた。 でも日が暮れたおかげで分かったことが一つあった── ここは確実には地球ではなかった。 なぜなら── 「うわぁ〜、綺麗」 夜空を見上げるとそこには見たことがないくらい綺麗な満天の星空、そして── 「てか、何で月が二つあるのよっっっ!!」 そう、月が二つもあった。 地球って確か衛星って一つよね? 私がもしかしていままで見えてなかったとか? でも学校じゃ一個って習ったし・・・。 まさかっっっ NA●Aの陰謀!! それはないよね・・・・ それよりもう何キロぐらい歩いたんだろう? ほんとに森だけしか続かないの? それにおなかも減ったし、もう眠たくなってきたし、、、 このまま寝たら本当に死んじゃうのかな? もう寝ちゃってもいいよね?? ダメっっっ!!やっぱりダメ!!このまま森なんかで野宿する事になったら絶対熊とか、狼とか、ゴリラとかライオン(?!)に殺されちゃう!! とにかくこんな所で寝たら寝入る前に食べられちゃいそうだよ、、、 グルルルルルルル、 「!!」 今確かにいかにも猛獣ですよと教えんばかりの泣き声がしたわよね?ね? 「どこにいるの?」 周りを慎重に見渡す、この行為は今日何回目だろう。 「これはカナリヤバイ匂いがプンプンしてきたわね。」 あたりを見回しても気配など一般人の私に分かるはずがなかった。 ここは── 逃げるが勝ちねっっっ!! そう思うが否や今日一日の(短かったけど)旅の友だった杖代わりの木の棒を適当に投げつけて走り出した。