「いつ行くんですか?」
「ん?そうね……準備も必要だし、ネレウスも安全のため連れて行きたいから……明日ね。
準備はすぐなんだけど、ネレウスに仕事休ませるのに時間かかりそうだし」

「明日!?・・・ですか?」
「そうよ?何か予定でもあったの?」
「いえ、私は大丈夫ですがアリスさん達こそ大丈夫なんですか?」
「えぇ、善は急げっていうでしょ?」
「まぁ、そうですね、ありがとうございます」
「いいのよ、さぁ夕飯にしましょうか」

そう言うとアリスさんは料理を盛りつけた皿をテーブルに運んでいく。
その後をお皿を持って追っていく私。
っていうかこっちの世界にも"善は急げ"っていうことわざが在るんだぁ〜。
また一つ共通点発見。
これも何かの手がかりになったりしたりして。

そう考えながら私はこの家での最期の夕食を取り明日が早いといういことなので早めにベッドに入った。

**************

「ふぁぁ、・・・おはようございます、アリスさん」
「おはよう、晴菜。もうすぐ出発だから、早くご飯食べちゃいましょう」

そう言うとアリスさんは朝ごはんの用意をしてくれた。
自分はもう食べちゃったらしい、私は出発の日にまで寝坊しちゃった。

「ネレウス達とは街で落ち合うことになってるの」
「街って昨日のですか?」
「えぇ、そうよ。もうついてると思うわ」
「すみません、じゃあ急がないと!」

そう言うと私は急いでご飯を食べて旅の準備を整える。
荷物はもともとそんなにないけど、忘れ物がないか念入りにチェック。

「忘れ物はないわね?」
「はい、大丈夫です」

外に出て、アリスさんが鍵を掛ける。
今日も空気がすがすがしい、本当にこちらの世界ならではという感じだ。

「じゃあ、そろそろ行きましょうか?」
「・・・・はい。でもその前に」
「・・・?」

アリスさんが不思議そうな顔をしている反対側、すなわち家の方に顔を向ける。

「晴菜?忘れ物?」
「いえ、お礼です。この家に。・・・少しの間だけでもお世話になりました」
「あらあら、いいのに、そんなこと」

私は家にお辞儀をし終えるとアリスさんの後について歩き出した。